民営化の公約「ブルートレイン = なくならない」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(5)

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ブルートレイン消滅の背景には、新幹線の高速化や競合する高速バス・航空の台頭、安価なビジネスホテルの増加が影響。夜行列車の利用者は減少傾向にあり、運行コストの高さも課題。環境意識の高まりや鉄道旅行の再評価があれば、復活の可能性も期待できる。

自民党の1986年意見広告

上野駅に到着した「北斗星」。2015年3月2日、筆者撮影(画像:大塚良治)
上野駅に到着した「北斗星」。2015年3月2日、筆者撮影(画像:大塚良治)

 国鉄分割民営化の前年の1986(昭和61)年5月22日、自民党は全国紙に意見広告を出した。それは、国鉄分割民営化後の懸案事項に関して不利益がないことを「公約」したものだった。意見広告に明記された公約は次の六つである。

●民営分割 ご期待ください。
・全国画一からローカル優先のサービスに徹します。
・明るく、親切な窓口に変身します。
・楽しい旅行をつぎつぎと企画します。

●民営分割 ご安心ください。
・会社間をまたがっても乗りかえもなく、不便になりません。運賃も高くなりません。
・ブルートレインなど長距離列車もなくなりません。
・ローカル線(特定地方交通線以外)もなくなりません。

連載5回目となる本稿では、「ブルートレインなど長距離列車もなくなりません。」について、国鉄・JRの鉄道線(連絡航路・バスを除く)の夜行列車に焦点を当てて再考する。果たしてこの公約は守られているのだろうか。

 なお、本稿ではすべての夜行列車を網羅しているわけではなく、「現在」というのはこの記事が掲載された時点の情報であることをあらかじめ断っておく。

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