名門スイス航空はなぜ破綻したのか? 堅実経営「空飛ぶ銀行」に起きた悲劇をご存じか

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スイス航空はかつて「空飛ぶ銀行」と称されるほどの名門だったが、1990年代の欧州航空自由化に伴う不適切な投資で破綻。提携先の経営悪化が引き金となり、最終的には2002年に消滅。教訓は、提携先の状況を慎重に見極める重要性である。

破綻を招いた戦略の盲点

SAirGroupに属する企業のロゴ
SAirGroupに属する企業のロゴ

 スイス航空の破綻の要因は、過度な投資にあった。しかし、その投資自体が不要だったとはいえない。特に、ホテルやハンドリング業務などの関連事業への参入は、現在も子会社が形態を変えながら生き残っていることから、一定の成功を収めたと評価できる。

 では、問題はどこにあったのだろうか。筆者(前林広樹、交通ライター)は、「ハンター戦略」の運用方法にあったと考えている。他国の大手航空会社と提携が難しい状況で、自社で出資し提携を進めるという方法は、1990年代のアライアンスや共同運行が広がる中で、差別化の一手段になり得た。

 しかし、提携先の企業の体質には問題があった。例えば、最初に提携したベルギーのフラッグキャリア、サベナ・ベルギー航空は、国際線に依存せざるを得ない国土の狭さや国営企業としての低い生産性から、収益性が不安定で、50年以上の歴史の中で黒字になったのはわずか1回という赤字体質の会社だった。また、スイス航空が49%の株式を保有していたAOMフランス航空も、エールフランスとの競合や、1990年代以降は頻繁な機材の入れ替えなどで、財務状況が健全とは言い難かった。

 このような財務状況の悪い企業と提携したことが、スイス航空を苦しめる一因となった。また、提携先が欧州の航空会社に集中していたため、顧客の取り合いが生じ、戦略が破綻する原因となった可能性がある。たとえば、当時経済成長が進んでいた中国や東南アジア、インドなど、他地域の企業を取り込んでいれば、外資規制の問題はあったものの、スイス航空のネットワークを補完し、顧客基盤を広げることができたかもしれない。

 結局、ハンター戦略が目指したネットワークの拡大やコスト削減が実現できなかったことが、スイス航空の破綻に大きな影響を与えたのは間違いないだろう。

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