かつては変人扱い! 「一人旅」が今では全然恥ずかしくなくなった根本理由
「ひとり」の価値、56.3%

博報堂生活総合研究所の「ひとり意識・行動調査 1993/2023」によると、「ひとりでいる方が好き」と回答した人の割合は、1993(平成5)年の43.5%から2023年には
「56.3%」
に増加した。30年間で12.8ポイントの増加だ。この結果から、2000年代から始まった長期的な「ひとり志向」の高まりと、コロナ禍での「個」の時間の再評価が組み合わさって、一人旅への関心や実践が急速に拡大しているといえるだろう。
この傾向はテクノロジーの進化によっても支えられている。JTB総合研究所が実施した「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2023年度版)」も、この点を裏付けている。
調査によると、スマートフォンでよく使う機能は「メッセージ・チャットアプリ(85.5%)」が1位、「検索エンジン(77.2%)」が2位となっている。一方、3位の「メール(71.7%)」と4位の「電話(64.5%)」は2019年の調査に比べて利用が大きく減少している。「メッセージ・チャットアプリ」と「メール」や「電話」との違いは
・即時性
・グループ機能
・スタンプや絵文字
・通知機能
などといったところだろうか。これは、より迅速でカジュアル、個人的なコミュニケーション手段が変化していることを示している。
また、SNSの利用状況にも注目が必要だ。「Instagram」と「TikTok」は2019年の調査よりも10ポイント以上利用率が上昇し、利用者の年齢層も広がっている。これらのプラットホームを通じて、旅行情報の入手や体験の共有がより活発になっていると考えられる。
さらに、この調査では旅行関連のAIサービスの利用についても触れられている。ここでは、2019年の調査と比較して、
「旅行中にわからないことを相談できる」
「一人旅でも困らない」
といった回答の順位が上昇している。2019年調査とは選択肢が異なるため、直接の比較はできないが、利用経験あり(合算)を見ると、2019年は30.7%だった。AIも旅行者にとって重要なツールになりつつあるのだ。