かつては変人扱い! 「一人旅」が今では全然恥ずかしくなくなった根本理由
統計が示す変化

前回の記事では、宿泊施設がかつて一人旅を敬遠していた実情を取り上げた。今回は、旅行業界で一人旅を求める人々が新たな顧客として注目を集めている背景と今後の展望について考えたい。
現在、女性の一人旅もブームとなっており、女性客を意識して「ひとり旅」といった柔らかい表記が使われることも増えている。さて、どのような変化が起きているのだろうか。まずは、「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2024(2023年分)」を参考に、2023年の年齢別・性別の一人旅の割合を紹介しよう。
・全体:15.9%
・18~29歳(男性):24.9%
・18~29歳(女性):11.5%
・30代(男性):19.2%
・30代(女性):9.1%
・40代(男性):23.2%
・40代(女性):12.9%
・50代(男性):24.8%
・50代(女性):11.8%
・60代(男性):18.7%
・60代(女性):10.2%
・70代(男性):15.9%
・70代(女性):8.0%
現在の調査方法は2023年から導入されたため、比較は難しいが、2010(平成22)年のデータと見比べてみよう。
・全体:12.9%
・20~34歳(男性):21.6%
・20~34歳(女性):10.3%
・35~49歳(男性):16.7%
・35~49歳(女性):7.4%
・50~79歳(男性):14.1%
・50~79歳(女性):10.3%
全体的には増加しているものの、特に男性の増加には及ばないが、女性の一人旅実施率は注目に値する。70代を除く全ての年代で増加しており、特に40代女性の増加が顕著だ。彼女たちの実施率は7.4%から12.9%へと増加している。これは、全年代・性別のなかで最も顕著な変化だ。この背景には、
・子育ての一段落
・キャリアの安定
・自己実現欲求の高まり
などが考えられる。また、18~29歳の女性の一人旅実施率も増加しており、若い女性たちの間で一人旅が好まれていることを示している。
このように、統計データから見ても、一人旅は性別に関係なく広く受け入れられつつあり、レジャーの一形態として定着しているといえる。