JR津軽線の復旧、なぜ誰も「北海道新幹線の線路」に言及しなかったのか?

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JR津軽線の蟹田~三厩間の復旧が断念され、代替交通の議論が進む。

運賃による維持費カバーの限界

三厩駅(画像:写真AC)
三厩駅(画像:写真AC)

 この年間6,000万円の維持費に対して、運賃収入でどこまでカバーできるだろうか――。

 2018年乗車人員データによれば、唯一データが取れている駅が三厩駅の25人であった。仮にその他の津軽浜名、今別、大川平、奥津軽いまべつ駅からも25人ずつの利用があるとする。三厩駅の利用者も津軽浜名駅の利用者数に加算し、さらに利用促進のため、津軽浜名~今別間の線路沿いにある今別町役場前にも新駅を設置して全部で1日150人くらいは乗ってくるとしよう。この150人から定期・定期外含め月あたり1万円取れるとすると、年間1,800万円程度の収入が見込める。

 さらに、運賃の高さで定評のある第三セクター鉄道の水準を適用すれば、通学定期でも20kmで月15,000円は妥当なところだろう。定期外運賃1か月分ならもっと多い。ある程度の利用者負担を求めてここまで引き上げると年間3,000万円は見込める。

 そうすると通学定期の値段はJR時代の倍額になるが、年間の赤字負担は半額の3,000万円まで圧縮できるだろう。町の実質負担額の半額を利用者負担で賄うなら各方面からも一定の理解は得られるのではないか。なお、阿部氏は

「ほとんど空気しか運んでいないような状況なら、町民へ北海道新幹線の特急料金を補助した方がいいのではないか」

としている。奥津軽いまべつ~新青森間の特定特急料金でも1,330円。このうち

「1,000円 × 往復 × 1日100人」

に補助したとしたら、年間7,300万円を要する。本稿の案で津軽線を維持した方が安そうだ。

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