JR津軽線の復旧、なぜ誰も「北海道新幹線の線路」に言及しなかったのか?
「北海道新幹線」活用論

筆者(北村幸太郎、鉄道ジャーナリスト)は、これまでの報道を見ていて、ある疑問が浮かんだ。主要な被災区間は中小国(なかおぐに)~津軽二股間であるにもかかわらず、なぜ貨物列車も走る“あの線路”の活用について誰も言及しないのだろうか――。それは
「北海道新幹線」
である。
北海道新幹線は在来線の貨物列車が乗り入れているので、津軽線の気動車(内燃機関を動力源として用い自力で走行する車両)に貨物機関車も積んでいるATC信号装置を付けて走らせればいいではないか。
北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅のすぐ横には津軽線の線路と津軽二股駅がある。そこを繋ぐ
「アプローチ線」
を作れば、残りの三厩~津軽浜名間の1か所だけ復旧すれば津軽線は復活できる。しかも、北海道新幹線経由なら維持管理費年間7億円を大幅に抑えられる可能性大だ。鉄道コンサルタントのライトレール社長・阿部等氏は
「貨物列車や新幹線車両といった重厚な車両の通過に耐えられる軌道なので、保線コストはゼロに近い」
という。となると蟹田~奥津軽いまべつ間は線路使用料がほとんどかからないと思っていい。津軽線蟹田~三厩間28.8kmのうちの3分の2を占める区間の保線コストがほぼ丸々浮くならば復旧のハードルはかなり下がる。
今別町の担当者に聞いてみた。すると、「実は我々も検討会でその案をJRに提案はしたんです。でもJRからは貨物列車とのダイヤ調整が困難など、色んな理由を付けて断られました」とのことだった。なぜこの案が報道されていないのかはわからないが、うまく実現できないのだろうか。今さらではあるが、筆者はもし“今別町営鉄道”という形でJRから津軽二股以北の線路を引き継いで、北海道新幹線経由案を実現させた場合のコストを試算したところ、
「田舎の町営にしかできない秘策」
も使ってかなり安いコストで維持できるのではないか、という試算結果を出せた。
決まったことを今さら蒸し返すなといわれそうだが、試算するだけならタダなので、少し付き合ってほしい。