民営化の公約「楽しい旅行をつぎつぎと企画します」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(3)

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国鉄分割民営化後、JR各社は観光列車や募集型企画旅行を通じて観光振興に努めている。しかし、鉄道の定期利用は若年層の減少で低迷しており、通勤利用者の増加が必要だ。

次世代へ継ぐ鉄道文化

ローカル線のイメージ(画像:写真AC)
ローカル線のイメージ(画像:写真AC)

 このように考えると、予讃線を含む各地のローカル線は「文化財」と位置付けることができる。文化財は次世代へ引き継いでいくべき「人類共通の宝物」であり、そもそも

「採算性判断の対象」

にはならないし、してはならない。

 貴重な文化財であるローカル線の維持に向けて、ユニバーサル料導入などの財源確保など国が責任をもって対処するのが筋である。鉄道駅バリアフリー料金制度が導入された今、ユニバーサル料導入へのハードルは下がっていると考えられる。

いずれにせよ、これまでの議論を踏まえると、国鉄分割民営化の公約「楽しい旅行をつぎつぎと企画します。」は実現できている。

 今後は、JR関係者、国民、消費者、国、地方公共団体が、「楽しい旅行」を次々と企画・実施することが鉄道網を次世代に引き継ぐための取り組みのひとつであるという認識を共有し、ステークホルダーが協力できる体制を構築できるかどうかが問われる。

 生徒・学生など若い世代のアイデアを取り入れ、「楽しい旅行」を増やして、鉄道の魅力をさらに高め、観光を通じて鉄道を未来に残す戦略としていきたいものである。鉄道を次世代に受け継ぐ責任は、今鉄道を利用している私たちの世代にある。

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