民営化の公約「楽しい旅行をつぎつぎと企画します」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(3)
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国鉄分割民営化後、JR各社は観光列車や募集型企画旅行を通じて観光振興に努めている。しかし、鉄道の定期利用は若年層の減少で低迷しており、通勤利用者の増加が必要だ。
豪華クルーズ列車の魅力

そして、JRグループの多くの会社が、
「観光列車」
の運行を行っている。そんななか、廃止された夜行列車に代わるかたちで、宿泊をともなうクルーズ列車が運行されるようになったことが特筆すべき点として挙げられる。
JR九州が2013年10月15日に運行を開始した「ななつ星in九州」は豪華な車内で車中泊しつつ、九州各地をめぐる。唯一の定期夜行列車である「サンライズ出雲・瀬戸」との違いは、「サンライズ出雲・瀬戸」は通常の乗車券+特急券で乗車できるのに対して(寝台利用の場合は寝台券も必要)、ななつ星in九州は団体専用列車であり、
「募集型企画旅行のかたちで参加する必要がある」
という点にある。後に登場したJR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」、およびJR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」も募集型企画旅行である。
・ななつ星in九州:65万円(2名1室)~
・TWILIGHT XPRESS 瑞風:38万5000円(同)~
・TRAIN SUITE 四季島:44万円(同)~
と高額となっている。
上記のクルーズ列車は、TRAIN SUITE 四季島の一部のコースが函館エリアへ乗り入れる以外は、原則として自社管内を周遊する。日本ではバブル崩壊以降、株主価値重視の風潮が広がり、JR各社は採算改善に向けて自社管内路線の利用促進や効率化を進めた。その結果、在来線ではJR会社間の直通列車は削減され続けた。