地方路線バスは崖っぷち! 修学旅行のために「高速バス運休」という異常事態、もはや公金投入しかないのか【連載】ホンネだらけの公共交通論(14)
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修学旅行の輸送ニーズは高まっており、高速バスを運行できない事業者もある。今後、大丈夫なのか。
修学旅行対応で高速バス運休

富山県富山市と県東部を拠点とする中堅私鉄・富山地方鉄道(富山市)は4月、5月中旬に県内発着の高速バス計60便の運休を決めたと発表した。その理由は前代未聞で、
「富山市内の中学校の修学旅行で輸送のニーズが増大し、それに対応していくため」
というものだった。
5月10日から5月17日までの間、富山~東京、富山~京都・大阪、富山~新潟、富山~名古屋の各路線と、重要な観光路線であるアルペンライナー宇奈月~室堂の高速バスの運行を休止すると発表した。また、運行会社の都合による運休については、無手数料で払い戻しを行うとした。
全国的にバスドライバーが不足しているとはいえ、すでに予約受付を開始している便を運休し手数料なしで払い戻しを行う――筆者(西山敏樹、都市工学者)は長年バス事業を研究しているが、自然災害時を除いてこのような判断を聞いたのは初めてである。
限られたドライバーの人的資源をどこに振り分けるか、運行会社にとって最善の選択を迫られたのだろう。
また、大手旅行会社・近畿日本ツーリストが2校の修学旅行に貸し切りバスを依頼したが、すべてのバス会社から断られたということもSNSで話題になった。