庶民の生活直撃も 「ガソリン価格」が当面下がらない三つの要因

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1年半以上にわたって続くガソリン価格の高騰。今後の見通しを経営コンサルタントが解説する。

原油価格・税制・市況から読み解く

ガソリンを給油するイメージ(画像:写真AC)
ガソリンを給油するイメージ(画像:写真AC)

 ガソリン価格の高騰が問題になっている。ガソリンの全国の小売価格は、2020年5月を底に1年半以上にわたって上昇し、今後もさらに上昇すると懸念されている。

 なぜガソリン価格が上がり続けているのだろうか。今後はどうなるのだろうか。

 ガソリン価格は、元売が輸入した原油の価格に精製・販売コスト、マージン、ガソリン税などを加えてSS(給油所)に販売する卸売価格が、SSがさらに販売コストやマージンなどを乗せて消費者に販売する小売価格が決まる。

 ガソリン価格を決める「原油価格」「税制」「市況」という三つの大きな要因に分けて、現状を確認し、今後を予想してみよう。

脱炭素化で原油価格が高止まり

 まず一つ目の原油価格。WTI(ニューヨーク原油市場)に代表される原油価格は、市場での取引で決まる。コロナ禍からの経済回復で需要が増加する一方、物流などサプライチェーンの混乱で供給が制約され、原油価格は上がり続けている。足元では、ウクライナ情勢の緊迫化も価格をさらに押し上げている。

 市場原理では、価格が上がれば需要が減り、供給が増え、価格は下落するはずだ。ところが、原油にはこの原理が働きにくい事情がある。

 まず、ガソリン・軽油といった石油製品は生活必需品なので、価格が上がったからといって消費者はただちに消費を大きく減らすわけにはいかない(経済学では「需要の価格弾力性が小さい」と言う)。

 一方、供給の方も、産油国が増産するには油田などへの巨額の投資が必要なので、すぐには生産量を増やせない。さらに今回、原油価格の高騰が長引いている背景には、世界的な脱炭素化の流れがある。今後、脱炭素化で原油の需要減少が確実であることから、産油国が「採算が合わない」と見て増産投資を躊躇している。

 では、今後の原油価格はどうなるのか。

 需要の方は、長期的には、国民の自動車離れや脱ガソリン自動車が進み、大きく減っていくだろう。しかし、向こう半年・1年という期間で見ると数%程度しか減らない。

 供給の方は、サプライチェーンの混乱は向こう半年などで解消されるかもしれない。ただ、産油国による大規模な増産は、今後も期待しにくいだろう。

 以上から原油価格は、向こう数か月くらい高値圏を維持し、そこからサプライチェーンの復旧にしたがって徐々に下がっていく。ただ、増産が進まないので、過去の高騰局面のように急激に下がっていくということは期待しにくいだろう。