庶民の生活直撃も 「ガソリン価格」が当面下がらない三つの要因

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1年半以上にわたって続くガソリン価格の高騰。今後の見通しを経営コンサルタントが解説する。

地方では値下がりしにくい

地方のガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)
地方のガソリンスタンドのイメージ(画像:写真AC)

 三つ目に、今後の価格動向を占う上で、小売り市況にも注目する必要がある。

 政府は、価格高騰を抑えるため1月27日(木)から元売に対して1l当たり3.4円の補助金の支給を開始した(3月末までの時限措置)。開始から1か月がたつが、市況はさらに上がっており、国民からは「下がっていないじゃないか」「やり方が不透明だ」という批判が噴出している。

 さすがに経済産業省が直轄する元売が補助金を自分の懐に入れるということはないから、国民が錯覚しているか、卸売価格は下がったが小売価格はさほど下がっていないか、どちらかだろう。中間段階の元売に補助金を出すというやり方の是非を含めて、検証する必要がある。

 では今後、原油価格が下がったり、トリガー条項が発動されたりしたら、市況は下がるだろうか。ここで気になるのが、近年のSS業界の構造変化だ。

 全国のSSは、1995(平成7)年の6万421か所をピークに減り続け、2021年3月現在2万9005か所になっている。わずか16年間で半減という激減だ。とくに人口減少が著しい地方では、近隣にSSがないSS過疎地が増え「給油難民」が社会問題になっている。

 以前はSS過剰の多くの地域で安売り競争が常態化していたが、最近はSS数の激減を受けてすっかり影を潜めた。そのため、とくに競争が少ない地方では、市況が下がりにくくなっている。都市部はともかく地方では、今後もなかなか市況が下がらないだろう。

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