素人考えでたどり着けない物流不動産ビジネス本当の“旨味”【短期連載】素人に倉庫ビジネスは可能か(3)
本職の物流事業者たちと渡り合えるか?
「メーカー、商社などの直荷主とつながりたい」──倉庫事業者の中には、ターゲットとするテナント企業について、物流企業以外を望むケースも少なくない。
理由は簡単、値切られるからである。
倉庫の賃料については、表向きの、いわば標準価格とも言うべきものと、物流事業者向けのものと、事実上2種類の賃料が存在することも多い。表向きの賃料が坪7000円台なのに、物流事業者向けの賃料が5000円台、もしくは4000円後半なんてこともある。
物流事業者は、転貸にせよ、寄託(貨物1個単位の保管料、入出荷料などで利益を得る倉庫ビジネスの一種)にせよ、倉庫の賃料がコストとして影響する。だからこそ、1円でも安く倉庫を借りるべく、強い値下げ要請を行ってくる。
こういう事情があるので、倉庫側はメーカー、卸、小売などの直荷主をテナントに迎え入れたいと考えるが、これもなかなか難しい。倉庫を借りるのは、物流事業者が多いからである。CBREは、首都圏の大型倉庫におけるテナントの半数が物流事業者であることをレポートしている。
倉庫ビジネスに限らず、ビジネスとは、仕入れと売りの差額を儲けとして得る。建設費を投じ、倉庫を建てたところで、賃料を値切られてしまえば、商売としての旨味は減じていく。素人が、百戦錬磨の物流事業者たちと渡り合い、望む賃料を得るのはなかなかに難しい。
例えばマンションや戸建住宅などの場合、不動産会社のビジネスは、原則として販売した時点でピークを迎える。マンションでは、管理運用などのビジネスはあるが、それはおまけのようなものだ。住宅販売においては、住民が入居したらそれ以降、なにか積極的にビジネスを展開するのは原則として難しい。
だが物流不動産ビジネスは違う。何故ならば、倉庫では常に物流ビジネスが動き続けるからである。
貨物の輸送、トラックの手配、倉庫内作業における倉庫作業や、作業員の手配、倉庫内業務をサポートするシステムやロボットなど自動化装置など、倉庫にはビジネスの種がたくさんあるのだ。