中国はもはや一流の自動車大国か? 「自動車産業」の盛衰にみる各国ランク構造、EVシフトで今後どうなる

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日本は自動車産業の発展とともに経済成長し、トヨタ、日産、ホンダといった世界的な自動車メーカーの成長とともに経済大国となった。しかし、自動車産業は常に上り調子だとは限らない。競争に負け、かつての輝きを失ってしまう国やメーカーもある。

自動車産業と国家

ジーリー(画像:ジェンティン・チェン)
ジーリー(画像:ジェンティン・チェン)

 自動車産業および自動車市場の盛衰は、その国の豊かさと安定の指標である――。この言葉は今回紹介する鈴木均『自動車の世界史』(中公新書)の冒頭に置かれた言葉である。

 確かに、日本は自動車産業の発展とともに経済成長し、トヨタ、日産、ホンダといった世界的な自動車メーカーの成長とともに経済大国となった。しかし、自動車産業は常に上り調子だとは限らない。競争に負け、かつての輝きを失ってしまう国やメーカーもある。
 本書は時代を彩った名車や、スクリーンのなかで活躍した車、自動車産業と国際政治の絡み、各国の公用車など、さまざまなネタを盛り込みつつ、自動車の歴史を語った本であるが、ここでは本書をもとに、自動車生産国の栄枯盛衰を見ていきたい。

 本書では自動車生産国を「ティア(層)構造」になぞらえて、ティア(T)1~4国に分類している。T1国は独自の自動車ブランドが複数あり、開発・生産、輸出と進出先での現地生産を行っている国である。

 さらに準T1国というカテゴリーもある。T1国にはないような部品を開発・供給でき、スタートアップなどが少量ながら先駆的な自動車を生産している国がこれにあたる。T2国は自動車の生産を行っているが、最先端の開発は弱く、先進国向けの独自輸出が少ない国である。

 ここまでが自動車生産国で、以下、T3国は一定程度の豊かさがあるものの自動車の生産を行っていない国。T4国はそれ以外の国で、自動車を中古車を中心とした輸入に頼っている国になる。

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