中国はもはや一流の自動車大国か? 「自動車産業」の盛衰にみる各国ランク構造、EVシフトで今後どうなる

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日本は自動車産業の発展とともに経済成長し、トヨタ、日産、ホンダといった世界的な自動車メーカーの成長とともに経済大国となった。しかし、自動車産業は常に上り調子だとは限らない。競争に負け、かつての輝きを失ってしまう国やメーカーもある。

クロアチア急上昇のワケ

ジュネーブモーターショー2016でのリマック「コンセプト・ワン」(画像:ノルベルト・エプリ)
ジュネーブモーターショー2016でのリマック「コンセプト・ワン」(画像:ノルベルト・エプリ)

 例えば、準T1国のクロアチアはリマックというEVのスタートアップの登場で、T3国から一気に準T1国の仲間入りを果たした。

 リマックが2011年に発表したコンセプト・ワンはモーター4基がそれぞれのタイヤを駆動し、合計で1300馬力、最高時速350kmというEVで、2018年に登場した後継のネヴェーラは、1900馬力を超え、最高時速は415kmに達するという。

 また、オランダでは2022年にライトイヤーというスタートアップが世界初と自称する量産型のソーラーカーを発表した。最高速度は160kmだが、「充電せずに何か月も運転できる」というのが売りで、ひょっとすると未来の車を先取りしたものなのかもしれない。

 自動車自体の生産を行っていなくても、今後の自動車に欠かせない部品を供給しているのがイスラエルになる。イスラエルのモービルアイはEyeQ(アイキュー)チップという、単眼カメラ、これから得た画像情報を解析する半導体とソフトがひとつになった商品を開発し、フォルクスワーゲン(VW)、フォード、日産に供給している。さらに中国の吉利汽車(ジーリー)とも提携しており、自動運転技術をけん引する企業になっている。

 そして、本書で準T1国というカテゴリーが置かれている大きな理由が

「中国の存在」

である。2022年の分類では、中国はT1国に括弧書きで登場し、準T1国にも記載されている、これは著者が中国をT1国に分類すべきかどうか迷っているためである。

 中国は、2001年に「自動車大国」を目指すとした10.5計画が打ち出した。当初は2005年までに乗用車の生産台数110万台が掲げられていたが、その数字はわずか2年で達成された。2009年には中国は世界最大の自動車生産国になっている。

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