中国はもはや一流の自動車大国か? 「自動車産業」の盛衰にみる各国ランク構造、EVシフトで今後どうなる

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日本は自動車産業の発展とともに経済成長し、トヨタ、日産、ホンダといった世界的な自動車メーカーの成長とともに経済大国となった。しかし、自動車産業は常に上り調子だとは限らない。競争に負け、かつての輝きを失ってしまう国やメーカーもある。

EV普及の余波

EV充電ステーション(画像:写真AC)
EV充電ステーション(画像:写真AC)

 本書の20~23ページにかけて、1945年、1973年、2000年、2022年のティア構造が図で示されている。ここでは、1973年と2022年のT1~T2国を紹介したい。

●1973年
・T1国:米、日、西独、英、仏、伊、スウェーデン
・T2国:カナダ、豪、スペイン、メキシコ、ブラジル、韓、中、印、マレーシア、ソ連、チェコスロバキア、東独、ルーマニア

●2022年
・T1国:米、日、独、仏、伊、韓、英、スウェーデン、(中?)
・準T1国:中、イスラエル、クロアチア、オランダ、デンマークなど
・T2国:カナダ、スペイン、メキシコ、ブラジル、印、マレーシア、タイ、露、チェコ、ハンガリー

 このリストを見て、まず気づくのが準T1国というカテゴリーの登場である。この準T1国というカテゴリーをつくらないと自動車生産国をうまく説明できなくなった背景には、

「電気自動車(EV)の普及」

がある。

 エンジン車の時代は、エンジンの開発・生産とこれに見合った車体の生産には相当なノウハウが必要であり、これができる国とできない国には大きな差があった。

 ところが、EVはモーターと電池を積むだけであり、エンジンに関する専門的なノウハウが必要ではない。一方で、その部品は高度化し、部品サプライヤーの地位は向上している。

 こうした状況のなか、EVや自動運転技術などを見据えて準T1国というカテゴリーが置かれているのである。

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