「EV対策」急ぐ中国 日米欧部品メーカー排除の可能性も、そもそも国内で完全自給化できるのか?
中国から欧州へのEV輸出が急増している。しかし実際には、49%が中国製のテスラで、14%がBMWなど欧州と中国の合弁会社、35%がMGなど中国資本の欧州ブランド、そして純粋な中国車はわずか2%である。
中国、欧州へのEV輸出急増

読売新聞が9月17日、「中国政府が、中国の電気自動車(EV)メーカーに対し半導体などの電子部品について、中国企業の国産品を使うように内部で指示していることがわかった。世界的に急成長するEVの分野でサプライチェーン(供給網)を国内で完結させる狙いとみられ、今後、日米欧の部品メーカーは排除される可能性が高い」と報じた。
一方、日本貿易振興機構は、
「欧州連合が、EV産業に対する北京の財政支援に関する調査を開始」
「中国政府は強い懸念と強烈な不満を表明した」
とした。
この背景には、過剰生産能力の出口戦略として、中国から欧州へのEV輸出が急増していることがある。しかし実際には、49%が中国製のテスラで、14%がBMWなど欧州と中国の合弁会社、35%がMGなど中国資本の欧州ブランド、そして純粋な中国車はわずか
「2%」
である。
外国企業が米国に進出しているのは、米国のインフレ抑制法(IRA)の税額控除や、米国での半導体生産と研究開発を支援する「CHIPS・科学法」の適用を受けるためである。
日本を抜いて世界一の自動車輸出国になった中国への警戒感は欧州でも強まっており、ロイターは
「フランスは(9月)20日、EV優遇措置の新規則で、中国製のEVを実質的に除外する」
と報じている。
欧米とのEV覇権争いのなかで、中国が目指す部品の自給自足は実現可能なのだろうか。電池と半導体のサプライチェーンの状況から、その可能性を予測する。