中国はもはや一流の自動車大国か? 「自動車産業」の盛衰にみる各国ランク構造、EVシフトで今後どうなる

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日本は自動車産業の発展とともに経済成長し、トヨタ、日産、ホンダといった世界的な自動車メーカーの成長とともに経済大国となった。しかし、自動車産業は常に上り調子だとは限らない。競争に負け、かつての輝きを失ってしまう国やメーカーもある。

中国EVの台頭

BYD「ATTO3」(画像:Merkmal編集部)
BYD「ATTO3」(画像:Merkmal編集部)

 ただし、国際市場において中国車の存在感は薄い。

 日本にしろ韓国にしろ、国内で技術を磨いたあと、米国などへの輸出によって存在感を示したが、中国はほぼ国内市場への供給だけで世界一の自動車生産国へと上り詰めた。また、中国国内での自動車生産をけん引したのも

「中国の企業と合弁した海外メーカー」

であり、中国オリジナルの車といっても、なかなか思い浮かばないのが現状である。

 このようにガソリン車において、中国はT1国の条件を満たしているかどうかは微妙であるという。しかし、これがEV車になると話は違ってくる。中国は2000年代から都市部での大気汚染に悩まされてきたが、この解決策として選ばれたのがEVだった。

 EVにはエンジン開発のための膨大な知識や特許が不要であり、一足飛びにEVシフトを進めるというのは、大気汚染対策というだけではなく、産業政策としても理にかなった選択であった。

 ジーリーは、1997年に自動車生産に参入した新興企業であるが、ボルボを買収するなどして急速に規模を拡大している。この吉利が2019年に投入したのが初のEVとなるジオメトリAで、テスラ・モデル3をライバルとして想定しているという。

 五菱(ウーリン)は、もともと日本の三菱の軽トラックをベースとして生産を行っていた企業であるが、2020年には宏光ミニEVという、廉価モデルがおよそ45万円という格安のEVを発売した。

 定員は4人であるものの、実質ひとりかふたり乗りで内装もチープだというが、

「これでも十分」

といった層に受け入れられており、2022年には中国でもっとも売れたEVとなった。

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