率直に問う 「四国新幹線」は本当に必要か? 喧伝される“時短メリット”への根本的懐疑
瀬戸大橋開通後の成功体験

著者が疑問視するもうひとつの点は、四国新幹線がつながれば
「4県間の交流が増える」
という主張である。交流が増えるというなら、現在、ビジネスや観光目的で4県を行き来する人は年間何人いるのか。四国新幹線開通でどの程度増えるのか、その試算を示すべきである。
しかし、そのようなデータや試算はどこにも見当たらない(もしそのようなデータや試算があるのであれば教えていただきたい)。これまであまり交流のなかった地域間の経済的結びつきが、新幹線によって急に強まるということがあり得るのだろうか。
むしろ、地域の玄関口となる高松市がひとり勝ちし、高松市に企業の支店が集中する未来が来る可能性のほうが高い。四国経済連合会が2022年4月に公表した「四国が目指す将来像 参考資料」には、総務省の統計に基づき、2021年の各県の転入・転出人口が示されている。
これによると、3県からの転入超過は香川県だけである。四国新幹線はおそらくこの状況をさらに加速させ、高松以外の県都は壊滅的な打撃を受けるだろう。また、4県で最も近い大都市である大阪への移動もそれほど増えないだろう。
2018年、香川県観音寺市で香川県などが主催したシンポジウムでは、大阪と四国が互いに「通勤・通学圏」になることがうたわれた。本当にそんなことが実現するのだろうか。先日、観音寺市出身の編集者に会い、この話題について尋ねてみたが、
「新幹線でいくら短時間になっても、観音寺から大阪に通勤するなんて“もの好き”はいない」
とのことだった。
どうやらこの発言の背景には、瀬戸大橋開通後の岡山県と香川県の通勤・通学の成功体験があるようだ。しかし、それはあくまでも低料金の在来線だからである。通勤・通学に新幹線を使うくらいなら、いっそ住んだほうがマシと考えるのが自然だろう。
例えば、岡山~新大阪間の新幹線の所要時間は最短で46分。しかし、毎日新幹線で大阪に通勤・通学する人は決して多くない。四国新幹線も同様で、ゼロではないが数は限られるだろう。また、時短効果によって、
・宿泊をともなう出張の減少
・企業の営業拠点の集中
といった弊害の可能性も考慮する必要がある。本当に四国新幹線を検討するのであれば、まずマイナス面を洗い出し、それを克服する方法を考えることが先決だ。
読者の皆さんは四国新幹線の是非について、どうお考えだろうか。