率直に問う 「四国新幹線」は本当に必要か? 喧伝される“時短メリット”への根本的懐疑
微妙な温度差の正体

この微妙な温度差は何なのだろかと思い、高知県庁に話を聞いてみた。筆者(昼間たかし、ルポライター)が高知新聞の投書欄のことに触れると、県庁の担当者もその内容は把握していた。そして、現在の情勢をこう語った。
「現状、経済界が推進している形で、県民全員が盛り上がっているとはいえません。熱心な香川県や徳島県と比べて、一歩下がって付いていっています」
ただ、担当者は県民の盛り上がりは欠けているものの、四国新幹線は高知県の将来のために欠かせないものだという。
・4県交流人口の増加
・南海トラフ地震発生時の避難/復旧
のように、行政や経済界が将来を見据えて四国新幹線の必要性を強調しても、愛媛県や高知県では冷ややかな意見が多いのだろうか。それは、県レベルではメリットが少ないと考えられているからだ。
上記以外に四国新幹線のメリットとしてあげられるのは、
「大都市圏への時短効果」
である。地元経済界で組織する「四国新幹線整備促進期成会」は、4県都から東京や大阪までの時間短縮効果を示して、四国新幹線の必要性を説いている。
同会のウェブサイトによれば、四国新幹線が開通すれば、4県都から東京はすべて約3時間、新大阪はすべて約1.5時間になるとしている。現状、松山~東京間は鉄道利用で6時間8分、新大阪は3時間30分かかっているため、かなりの短縮である。ただ、ここで気になるのは運賃だ。これまでの新幹線の事例を参考にすれば、運賃は現在より高くなることはあっても、安くなることはない。
また、空路が発達している現在、大阪ならともかく、東京にでかける際に新幹線を利用する理由がない。現状でも、東京から松山・高知に向かう際に主に使われるのは空路だ。東京駅から新幹線に乗り、岡山で在来線特急に乗り換える人はあまり見かけない。
現在、すでに移動経路が確立されていることから、あえて四国新幹線を建設することの是非が問われているのだ。