四国は新幹線「空白地帯」 地元で構想加速も、経済効果は本当にあるのか?
開業目標は2037年
四国には新幹線が走っていない。調査こそ実施されているが、具体的な建設計画はまったくない。一方、北海道では札幌延伸工事、北陸では敦賀延伸工事が進んでいる。
2021年3月にJR四国が発表した「長期経営ビジョン2030・中期経営計画2025」によると
「交流人口の拡大と四国経済の発展を目指し、地域とともに新幹線等による抜本的な高速化の早期実現に向けて取り組みます」
として新幹線の実現可能性に言及している。
この文言の「地域」で活動しているのが、四国4県の政財界で構成される「四国新幹線整備促進期成会」である。この団体は「新幹線による大幅な時間短縮効果などが四国にさまざまなプラスをもたらす」などとして、四国における新幹線整備の妥当性を主張している。
活動は盛んで、2020年7月には国土交通省に対し、四国新幹線の整備計画格上げに向けた調査費計上などを求める要望書を提出。ここでは、リニア中央新幹線が大阪延伸する2037年を開業目標として掲げている。
四国新幹線の抱える大きな課題
四国新幹線が実現するなら、どのようなルートになるのか。これまで想定されているものは次のふたつだ。
・四国新幹線:大阪市を起点に「徳島市」「高松市」「松山市」を経由して大分市まで
・四国横断新幹線:岡山市を起点に「瀬戸大橋」経由で高知市まで
いずれもあくまで構想段階で、実際に計画を進めるには乗り越えなければならない課題が多い。
とりわけ多いのは四国新幹線だ。徳島県と対岸の兵庫県淡路島を結ぶ大鳴門橋(おおなるときょう)は新幹線が通ることを想定して建設されているが、淡路島と本州を結ぶ明石海峡大橋はそうした設備を有していない。そのため、海を越える方法を新たに検討しなくてはならない。松山市から先、豊予(ほうよ)海峡を越える部分も同様だ。
一方、四国横断新幹線の場合は瀬戸大橋の四国側部分で東西に分岐する路線が必要となる。目的地が「高知市のみ」というわけにはいかないからだ。