「ナチスは良いこともした」という虚妄 通説「アウトバーン建設 = 失業率低下」もほぼ間違いだった

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一般的にナチスが行った「良いこと」を俎上に載せながら、「それは本当に良いことだったのか」を確かめる。アウトバーン、フォルクスワーゲンなどについても言及する。

巨大な負債に支えられたナチ政権

小野寺拓也・田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(画像:岩波書店)
小野寺拓也・田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(画像:岩波書店)

 ただし、戦争を始めなければうまくいったかというと、そうとも言い切れない。

 軍備を含めたナチ政権の巨大な財政支出は巨大な負債に支えられており、その負債は他国からの収奪によって賄われることになったからだ。戦争を始めない限り、ナチ政権の軍拡と経済振興策は確実に行き詰まっていたと考えられる

 これ以外にも本書では、ナチスのさまざまな政策が俎上に載せられている。本稿を読んで、

・家族政策
・健康政策

など、他の「良いこと」が頭に浮かんだ人もいるだろうが、そうした政策も否定されているので本書を読んで確認してほしい。

 ナチスはその扱われ方ゆえに何かを語りたくなる存在であるが、本書はナチスについて語る前にぜひ目を通すべき1冊となっている。

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