「ナチスは良いこともした」という虚妄 通説「アウトバーン建設 = 失業率低下」もほぼ間違いだった

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一般的にナチスが行った「良いこと」を俎上に載せながら、「それは本当に良いことだったのか」を確かめる。アウトバーン、フォルクスワーゲンなどについても言及する。

ナチ政権下では納車されなかったVW

アウトバーン(画像:写真AC)
アウトバーン(画像:写真AC)

 では、フォルクスワーゲンはどうだろうか。

 この車は、1934年2月にヒトラー自身により開発が発表され、フェルディナント・ポルシェの設計のもと、労働者でも買える車として、他社の最新モデルよりも3割以上安い990ライヒスマルク(約66万5000円)で販売されることになった。

「自分の車を運転したければ週に5マルク貯蓄せよ!」

という宣伝文句のもとで、1939年末まで30万人近くの人が積立金の支払いを行った。

 戦後、フォルクスワーゲンのタイプ1は世界中に売れた車になっており、フォルクスワーゲンというプロジェクトに関しては先見性があったといえるかもしれない。ただし、アイデアとしてアメリカのフォード社のやり方を模範にしたものであり、何よりもナチ政権下では納車されなかった。

 フォルクスワーゲン生産のためにつくられた巨大工場では、第2次世界大戦の開戦後には生産ラインが軍用車生産に切り替えられ、巨額の積立金は軍事目的に流用された。フォルクスワーゲンは、ナチスの「空手形」に終わっている。

 このようにナチスの政策の多くは戦争によって果たされなかった。

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