「ナチスは良いこともした」という虚妄 通説「アウトバーン建設 = 失業率低下」もほぼ間違いだった

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一般的にナチスが行った「良いこと」を俎上に載せながら、「それは本当に良いことだったのか」を確かめる。アウトバーン、フォルクスワーゲンなどについても言及する。

ナチス批判の三つの観点

ナチ党本部があったミュンヘン(画像:写真AC)
ナチ党本部があったミュンヘン(画像:写真AC)

 本書はそれに対して、

1.そもそもナチスのオリジナルの政策ではない
2.ナチスが宣伝したような効果はなかった
3.一定の効果を上げた政策もあるが、その政策が行われた文脈を考えると「良い」とはいえない

という主に三つの観点から批判している。

「3」については、少しわかりにくいかもしれないが、本書でとり上げられているナチスの動物愛護政策がそれにあたる。

 1933年4月に制定された「動物屠殺に関する法律」では、「温血動物を屠殺する際には、失血前に麻酔をしなければならない」と定め、同年11月の「動物愛護法」では、家畜やペットだけではなく、野生動物一般をも保護対象とした。

 こうした法律は「良い」もののように思えるが、屠殺の規制については露骨な反ユダヤ主義が含まれていた。

 ユダヤ教では、鋭利な刃の欠けていない包丁で首を一気に切り裂いて血を抜いた肉が「清浄な肉」であるという教えがある。これは一瞬で絶命させて苦痛を与えないことを意図していたが、19世紀後半になると、ヨーロッパではこの方法が反ユダヤ主義の文脈の中で「残酷」であると批判されるようになっていた。

 そして事前に麻酔(麻酔といっても「殺し棒」などで殴って動物の痛覚を奪うといった程度のもの)を与えるやり方が「人道的」だと主張されていた。

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