「大型トラックの最高速度を100kmに」 国民・玉木代表の発言が現場知らずの「甘ちゃん」である3つの理由

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「大型トラックの80km/h規制を100km/hに緩和してはどうか?」、国民民主党の玉木雄一郎氏は「2024年問題」対策として有効だと考えたようだが、さて、どうなのだろうか?

国民・玉木代表のツイート話題に

国民民主党の玉木雄一郎代表のツイッター
国民民主党の玉木雄一郎代表のツイッター

 国民民主党の玉木雄一郎代表が2023年4月4日、

「トラックドライバーの時間外勤務労働に960時間の規制が掛かることで物流のうち3割が運べなくなるという『2024年問題』。その対策のひとつとして大型トラックの80km/h規制を100km/hに緩和してはどうでしょうか。東京-大阪間が片道1時間半短縮できてもっと物が運べます。車の安全性能も高まっています」

とツイートした。ツイートは現時点(4月11日)で1009.6万の表示、1.3万件の「いいね」を獲得するなど、大きな話題を呼んでいる。

 本稿では、玉木氏の発言について、

・安全性
・実効性
・トラック進化の方向性

という3点から考察していく。

アウトバーンは最高速度は80km/h

諸外国の高速道路における最高速度(画像:坂田良平)
諸外国の高速道路における最高速度(画像:坂田良平)

 速度無制限で知られるアウトバーン(ドイツ)だが、それは乗用車の話。大型トラックの制限速度は80km/hである。

 諸外国における、高速道路における乗用車と大型トラックの最高速度をまとめた。総じて乗用車と大型トラックの最高速度には、差が設けられていることがわかる。理由は簡単、車重の重たい大型トラックは、万が一事故が発生したとき、速度が上がるほど被害が大きくなるからだ。

 運動エネルギー(K)は、質量m(kg)と、物体の移動速度v(m/s)の2乗に、係数1/2を乗じた値になる。

「K = 1/2mv^2」

 速度が上がるほど、指数的に運動エネルギーが上昇することになり、いざ交通事故を起こしたときの被害が増大することになる。例えば、80km/hで交通事故を起こしたときに比べ、100km/hで交通事故を起こすと、運動エネルギーが約1.6倍増加、被害も増えることになる。

 確かに玉木氏の言うとおり、安全支援装置の発展は近年めざましく、その効果は飛躍的に上がっている。だが、世の中、こういった最新の安全装置を装着したトラックを常に常備できる運送会社は限られていることは忘れてはならない。

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