「ナチスは良いこともした」という虚妄 通説「アウトバーン建設 = 失業率低下」もほぼ間違いだった
一般的にナチスが行った「良いこと」を俎上に載せながら、「それは本当に良いことだったのか」を確かめる。アウトバーン、フォルクスワーゲンなどについても言及する。
障害者・同性愛者も排除したナチス

ナチスの政策はこの反ユダヤ主義に乗っかったものだった。ナチスは「残虐なユダヤ人」を印象付けるためにユダヤ人の屠殺方法を批判し、それを際立たせる目的もあって屠殺方法を規制していった。
また、動物を保護し、動物実験を規制したが、ナチスがユダヤ人をどのように扱っていたかを知る者からすると、そこに「博愛の精神」といったものを読み取ることは難しい。
本書の第1章では、ナチスは「国家」社会主義ドイツ労働者党ではなく、「国民」社会主義国家労働者党と訳されるべきだと主張されている。
もとになっているドイツ語の「Nation」という言葉は「国民」とも「国家」とも訳すことができる言葉であるが、ナチスの目指していた「民族共同体」の考えからすると、「国民」が望ましいという。
ナチスの特徴は、「ドイツ民族」の調和や団結を重視する一方で、それに当てはまらない、あるいは望ましくない人々、例えば、
・ユダヤ人
・シンティ・ロマ(「ジプシー」)
・共産主義者
・障害者
・同性愛者
などを徹底的に排除したものだった。
この包摂と排除こそがナチスの思想の特徴であり、排除された者たちは、それこそ「動物以下」の存在として扱われたのだ。