上下分離方式は窮地のJRを救えるか 「道路と対等な鉄道」を目指した欧州の政策とは

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コロナ禍で経営の苦しさに拍車がかかるJR北海道やJR四国に救済策はあるのか。鉄道の民営化で、地域によって事業者を分けるのではなく、インフラ管理と列車運行で事業者を分ける「上下分離」を採用したヨーロッパの状況を解説する。

地域分離方式ではなく「上下分離方式」で民営化

PSO契約により民間企業が運行するドイツのローカル列車(橋爪智之撮影)。
PSO契約により民間企業が運行するドイツのローカル列車(橋爪智之撮影)。

 鉄道の民営化は、世界でも一般的となっているが、そのアプローチと方法に関しては、国や地域によって大きく異なる。日本では、地域ごとにJR会社を分割する「地域分離方式」により民営化されたが、世界では後述する「上下分離方式」を採用する国も多い。
 
 上下分離方式は、線路や駅などのインフラを管理する会社と、列車を運行する会社に分けることで、運行会社は列車本数や連結両数に応じた額をインフラ会社に支払う形となる。日本でもいくつか採用例があるが、主流ではない。

 日本では国鉄が民営化された際に地域分離という手段を選び、JR旅客6社と貨物1社に分割され、線路や駅といったインフラは、貨物を除く旅客6社に引き継がれた。だが地域ごとの分割により、人口密度が低いJR北海道・JR四国・JR九州の3社(三島会社)は鉄道経営による赤字解消が困難になっている。近年は度重なる自然災害に加え、コロナ禍が止めを刺すような形となり、特に鉄道運営が事業の柱であったJR北海道とJR四国は、もはや企業努力だけでどうにかできる状況ではないところまで追い詰められている。

 そんな中、両社への救済策の一手段として注目されているのが、この上下分離方式だ。インフラを国や自治体が引き受けることで、JRの負担を減らせる可能性があると期待されているが、その上下分離方式が主流となっているヨーロッパ各国は、どのような状況なのか。