欧州が最大市場の中国を猛追 2021年1QのEV市場「第三極」米の動きは
欧州と北米がEVの成長を牽引
自動車産業に関するリサーチ会社である英JATOは2021年6月7日(月)、同年第1四半期(2021年1~3月)におけるEV(バッテリーEV)の世界販売台数統計を発表した。
これによると、EVの世界販売台数は72万7000台に達し、統計対象外の地域を含めると75万台に達する見込みであることが分かった。
この統計は、JATOが調査対象とする世界の45の市場を対象としたもので、コロナ禍が世界に広がり始めた昨年2020年の第1四半期と比較すると142%増加、2019年の第1四半期と比較すると2倍以上に達する販売実績となった。
EVは世界全体で広がりつつあるが、販売台数で見ると、中国・欧州・北米(アメリカ、カナダ)の三つの地域でEV市場全体の95%を占めており、それ以外の地域の市場成長とは明らかな差がある。
中国のEV市場は、コロナ禍に入った2020年第1四半期に大きく減速したが、その後の回復で世界最大のEV市場の座を取り戻し、現在のEV販売台数のうち、中国が53%を占めている。このような支配的な立場は、中国政府および地方政府による強力な販売補助金によるもので、これは、NIOや小鵬汽車などEVベンチャーの販売促進にも貢献しているものとみられる。
それにも増して急成長しているのが欧州のEV市場である。2021年1月から3月までに約20万台のEVが登録され、EV市場の急速な発展に貢献する主要なマーケットとなり、中国市場と競い合うように成長している。欧州の各国政府もEVの普及を支援しており、需要を後押しするための大規模な補助金が投入されている。
そして2021年第1四半期には、欧州市場全体の自動車販売のうち、EVが6.4%を占め、新記録を達成した。この成長は、欧州各国の自動車メーカーが、競争力のある価格で魅力的なモデルを数多く発売したことによって牽引されている。
一方のアメリカ市場では、ピックアップトラックやSUVが人気を保っており、EVへの移行を難しくしている。にもかかわらず、テスラはアメリカでの強いニーズに支えられ、世界最大のEVメーカーであり続けている。それに対抗するように、フォードはSUV EV「マッハE」とピックアップトラックEV「F-150ライトニング」を発売、またGMはトラックブランド「ハマー」のEVラインアップに取り組んでいる。