京急の三浦半島「延伸計画」 2016年“凍結”も、鵜呑みにしていいのか? 一部で囁かれる巧みな戦術説

キーワード :
, ,
京浜急行電鉄は三崎口駅のさらに南に線路を延ばす構想を悲願として来たが、2016年に突然“凍結”してしまった。これを額面通りに受け取ってもいいのか。

「復活」懇願の巧妙な戦術との説

京急グループ本社(画像:(C)Google)
京急グループ本社(画像:(C)Google)

 そこで、このプランに関してある業界関係者は、

「先に三浦市や県がまとめた、いわば“官製”の活性化プランで観念論的な語彙(ごい)にあふれていたのに比べ、こちらはさすがに私企業らしくより具体的。注目は油壷地区を観光ハブとして整備する点をさりげなく強調している点で、凍結した路線延伸を“解凍”するための伏線では。三つの目標を実現するには、結局路線延伸の解凍しかないと行政側に懇願させることがねらいでは」

と深読みする。

 また、ある事情通は

「ビジネスライクでシビアに考えると、人口減で三浦市の地価は下がり続けること必至で、しかも高齢化で今後農地などの相続問題も深刻化し、土地を手放す住民も少なくないだろう。これを考えれば路線延伸に必要な用地買収は比較的楽で低コストに達成できる、との読みも働いているのでは」

と推測する。

 仮に路線延伸が解凍したとして、気になるのが数千億円に達すると思われる建設費を誰が賄うかだろう。当然京急側は大半を市や県、国が負担すべきと思うはずで、「それでないと株主に説明できない」と突っぱねればいい。あるいは延伸部分だけを第三セクター方式で整備し、ここを京急が事実上借りて線路使用料を支払うという仕組みもいいだろう。
 問題は、

「人口数万人で過疎化する半島の突端の市だけの利便性向上のために、1000億円単位の税金を注入して鉄道を敷くのはあまりにも我田引水ならぬ“我田引鉄”過ぎるのでは」

という批判にどう対処するかだ。もちろんこのままの状態では国や県も資金を出しにくい。

 だが、そこは県が打ち出す「三浦半島魅力最大化プロジェクト」に掲げられる「MICE」(企業等の会議、企業等の行う法相・研修旅行、国際機関・団体、学会などが行う国際会議、展示会)の誘致を引き合いに、国が推進する「観光立国」のけん引役として三浦半島一帯の開発を進めたいと説得すればいい、との見方もある。

 しかも、この場合は三浦市を始め、横須賀や鎌倉、逗子、葉山の半島の各自治体が一致団結し、さらに横浜などとも広域連携していくのが効果的だろう。

 果たして京急の次の一手は。

全てのコメントを見る