京急の三浦半島「延伸計画」 2016年“凍結”も、鵜呑みにしていいのか? 一部で囁かれる巧みな戦術説

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京浜急行電鉄は三崎口駅のさらに南に線路を延ばす構想を悲願として来たが、2016年に突然“凍結”してしまった。これを額面通りに受け取ってもいいのか。

急がれるエリア価値向上

三崎港(画像:(C)Google)
三崎港(画像:(C)Google)

 しかも人口減の波は同市だけでなく、横須賀市や横浜市南部の東京湾沿いなど、いわば京急線沿線は共通の悩みで、高齢化に加え造船所や自動車工場、研究施設などの相次ぐ撤退などが大きく響いている。同社にとってはまさに非常事態である。

 もちろん地元の三浦市や神奈川県も地域活性化プロジェクトを策定し、「自然」「観光」をキーワードに三浦半島の魅力を最大限にアピールし、定住者を呼び込んで人口減に歯止めをかけようと必死だ。

 だが一方で、

「はっきりいって他の自治体や地域が打ち出す活性化プランと大同小異で中身に新味や差別化が感じられない。首都圏の自治体にとって定住者、特に20代、30代の若い世代の獲得の決め手は“東京都心とのアクセスのよさ”に尽きる。これを考えれば京急の路線延伸凍結は三浦市や神奈川県にとってもかなりの痛手だったのでは」

と分析する業界関係者もいる。

 ただ、三浦半島の人口減抑制と経済活性化は京急にとっても死活問題で、同市や県と利害が一致する。2021年には「都市近郊リゾートみうらの創成」と題し、2023年度までを「助走期間」、2024年度以降を計画の本格実施と定めた中期経営計画を策定している。

 中身を見ると「都心から1時間圏内アクセス性」「バラエティに富む観光資源」をモチーフに

1.エリア価値向上
2.定住人口増加
3.交流人口増加

の3項目を目標に、新規事業者の誘致による施設の整備などを積極的に進めるというものだ。

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