京急の三浦半島「延伸計画」 2016年“凍結”も、鵜呑みにしていいのか? 一部で囁かれる巧みな戦術説
京浜急行電鉄は三崎口駅のさらに南に線路を延ばす構想を悲願として来たが、2016年に突然“凍結”してしまった。これを額面通りに受け取ってもいいのか。
県内の市で唯一「消滅可能都市」に

“凍結”の話は結局「人口減で利用者が見込めないから鉄道を敷かない」なのか「鉄道を敷かないから不便で人口が減る」なのかの話、つまり「鶏が先か、卵が先か」の議論となり、京急は前者を選択したのだろう。
仮に数千億円を投じて延伸路線を完成させたとしても、果たしてこの投資額を回収し黒字転換できるのはいつか、と「モノいう株主」がかみついた場合、京急の経営陣は明確な回答に窮するのは明らかだ。これを考えれば凍結の判断はうなずける。
その人口減だが、実は三浦市の内情は想像以上に深刻だ。東京から60km圏内の絶好の位置にもかかわらず、鉄道路線のアクセスの悪さも手伝って、1995(平成7)年の約5万4000人をピークに減少が始まり、同市統計月報によれば、直近の2023年5月1日現在で約4万600人と30年余りで1万人以上、20%以上も落ち込んでいる。
2014年に日本創成会議がまとめた衝撃的な「消滅可能性都市」でも、同市は県内の「市」として唯一「消滅可能性都市」としてノミネートされるという不名誉に、市長はもちろん、市役所や市民は激震に見舞われたようだ。
高齢化の進行と人口流出で、何も手を打たなければ2030年には約3.8万人、2045年には約2.4万人と現在のほぼ半分にシュリンクすると推測された。これでは今と同じレベルの公共サービスの維持は無理だろう。