欧州の行き過ぎた環境意識が「鉄道」利用を阻害する
環境運動の高まりで一躍有名になった「飛び恥」。その結果、それに比例する形で鉄道利用者の数は増加した。今後の懸念点とは。
「飛び恥」とは何か
「flygskam(フリグスカム)」、もしくは「Flight shame(フライトシェイム)」という言葉に聞き覚えがあるだろうか。
日本語では「飛び恥」という形に訳されたこの言葉、航空機を飛ばすことは気候変動へ大きな影響を与えるということから、航空機に乗ることは環境破壊に加担する恥ずべき行為で、鉄道を中心とした他の交通機関を利用するよう促すために生まれた造語だ。
スウェーデンで「flygskam」という言葉が誕生し、その後英語など他言語へ訳されて広がっていった。日本では「飛び恥」と呼ばれるようになった。
この言葉が生まれたのは2017年、スウェーデン人歌手のスタファン・リンドバリ氏によって作られたとされ、後に学校に対するデモを行ったり、大西洋をヨットで横断したりするなどしたスウェーデンの女子高生(当時)、グレタ・トゥーンベリ氏がこの言葉を用いたことで注目を集めた。それに共感した多くの若者たちがこの言葉とともに「飛行機を使わない旅」に挑戦するようになった。
とりわけ、この言葉発祥の地でもあるスウェーデンを中心として広まっていったこともあり、ヨーロッパ各国でflygskam運動が浸透していった。
この世界の流れは、鉄道業界にとっては大きなプラスへと働いた。flygskamという言葉が各国で徐々に浸透し始めると、それに比例する形で鉄道利用者の数は増加していった。