ヨーロッパの「鉄道ダイヤ」作成、難易度がどんどん上がっている深刻理由

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ダイヤ改正は、鉄道会社にとって1年のなかで最も重要なイベントだ。ヨーロッパでの作成において、最も苦労するのは何か。

ダイヤ改正の意義

多くの国際列車が乗り入れる欧州のターミナル駅。ダイヤ作成にあたっては隣国との調整が重要になってくる(画像:橋爪智之)
多くの国際列車が乗り入れる欧州のターミナル駅。ダイヤ作成にあたっては隣国との調整が重要になってくる(画像:橋爪智之)

 毎年、年に数回は行われるダイヤ改正。その日を境に新しい列車が誕生し、必要なくなった列車が消滅する。新しい路線が開業することもあれば、利用者が少なく廃線となる区間もある。沿線住民や鉄道ファンにとっては悲喜こもごも、いろいろな思いが交錯する1日と言えよう。

 一方で、鉄道会社にとっては感傷に浸っている余裕はなく、1年のなかで最も重要なイベントのひとつであることは間違いない。

 改正は、安全かつ正確に列車を運行させるために無理のない運行スケジュールを組むことはもちろん、運行頻度や編成の長さなど、過不足がないように輸送力を適正化させ、鉄道会社を運営させるうえで重要な役割を担う。

 複数の路線を持つ会社なら、利用客の利便性を考慮して、各路線間の接続をも考慮しなければならないし、JRともなれば、それが全国規模での調整を必要とする。JR旅客会社は国鉄時代から6社へ分割され、現在は地域ごとにそれぞれ別の会社となっているが、利用者へのサービス面を考えるなら、隣の会社のダイヤを把握し、分界点となる駅での乗り継ぎもある程度は考慮する必要がある。

 また、複数の会社で相互乗り入れをしているケースは、それぞれの思惑を達成させつつも、他社からの乗り入れ車両を受け入れなければならず、その調整には多大なる苦労がともなう。

 ただし、これは日本という同じ国のなかでの話。周辺の国と陸続きとなっていて、国をまたいで運行される国際列車が多く行き交うヨーロッパ地域となると、さらに混迷を極めることになる。何しろ、まず言語が異なる国同士なのだから調整をするのも一苦労だ。

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