“アイス事件”で中国人が怒るのは当然だ 上海モーターショーで見えた「アジア人差別」という時代錯誤な価値観、日本の真摯な姿勢が問われている
中国の「アイス事件」に対する怒りがアジア全土へと広がりを見せている。この騒動は、欧米における「アジア人差別」がいまだになくならない証左なのか。
アイスきっかけに大騒動
中国の「アイス事件」に対する怒りがアジア全土へと広がりを見せている。この騒動は、欧米における「アジア人差別」がいまだになくならない証左なのか――。
騒動は、4月27日まで開催されていた上海モーターショーで突如発生した。ことの経緯を改めて記す。
ドイツBMW傘下の「MINI」のブースでは、来場者に無料アイスを配っていた。中国人女性がそのアイスをもらおうとしたところ、中国人スタッフが「もう終わった」「これは海外からの来場者のためのものだ」と告げ、その直後、なぜか外国人男性に渡した。その様子をとらえた動画が中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」上で拡散され、これを見た人たちが、欧米人によるアジア人差別と受け止めたことで、世界を巻き込んだ騒動になった。
BMWへの抗議を表明べく、微博では投稿者が自ら所有するBMWを破壊したり、車体に落書きしたりする動画が投稿された。また、動画に登場したスタッフを特定しようとする動きも広がり、スタッフの行為に対して
「愛国教育が欠けている」
と憤る声まで寄せられた。
いまや、中国のSNSなどで「冰淇淋(アイスクリーム)」と入力すると「冰淇淋事件」や「冰淇淋小姐姐(ミス・アイスクリーム)」が出てきて、いかに怒りに震えている人が多いかがわかる。
ただ、微博には怒りをたしなめる書き込みが上位に表示されているため、中国政府がこの騒動を鎮めたい意図も感じられる。