中国に負けた日本の鉄道 同国受注「インドネシア高速鉄道」試運転成功に見る、痛々しいまでの昭和的反応

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インドネシアが11月16日、中国とともに建設中のジャカルタ~バンドン高速鉄道の試運転を公開した。同鉄道は日本国内から多くのバッシングを受けているが、本当に正しいのか。

「危ない」論拠は10年以上前の事故

およそ1週間の間、本番に備えた試運転は毎日繰り返された(画像:高木聡)
およそ1週間の間、本番に備えた試運転は毎日繰り返された(画像:高木聡)

 読んでいて歯が浮くような気持ちになる――というのは、何かとつけて報じられる「中国の高速鉄道は危ない」という安直なメディアの論調と、それに追従する「ネトウヨ(ネット右翼)」たちによって書き込まれる大量のコメントである。

 その論調の根拠は、東南沿海に位置する浙江省温州市で2011年7月に発生した高速鉄道の追突、脱線事故に至るわけだが、10年以上も前に発生した事故をさも昨日起きたように語っている。もちろん、事故の処理方法や当局の隠ぺい体質など、問題があったのは事実だ。しかし、肝心なのは

「事故の教訓がその後に生かされたかどうか」

である。

 事故は起きる。ましてや、短期間に急速な拡大を続ける中国の高速鉄道だ。特に2011年の事故は、落雷という予期せぬトラブルが引き金になっている。ただ、その後、これと同様の事故は発生していない。第一、中国の高速鉄道をさかのぼれば、

「日本の新幹線」

なのだ。

 その後、中国の高速鉄道は“雨後のたけのこ”の如く伸び続け、世界最長のネットワークを築き上げている。中国が世界一の鉄道大国であることは、いやが応でも認めざるを得ない。もし、中国の高速鉄道がそんなに危険ならば、少なくとも外国人は利用しないだろう。しかし、実際には在留邦人はもちろん、出張者に観光客、それに外交官など、政府関係者だって利用している。ここに「危ない理論」を持ち込むのは、無理筋というものだ。

 さて、2022年11月16日、20か国・地域首脳会合(G20)がインドネシア、バリで閉幕した。これにあわせ、インドネシアが現在中国とともに建設中のジャカルタ~バンドン高速鉄道の試運転を公開した。

 この公開試運転は、当初、習近平国家主席を招待し、実際に乗車してもらう予定だった。しかしながら、バリの会場からオンラインでつないで実施する、ライブ配信形式に変わった。すると、ここにも「中国の高速鉄道は危ない」論者が案の定現れたのだ。「安全性への危惧」から、習近平国家主席が乗車しなかったと言うのだ。

 習近平にとって、いわば自国の鉄道も同然である。まして、距離にしてわずかバンドン側の車両基地から約20km、最高時速80kmの試運転に対して、もし本当に危険性を感じているとしたら、自ら中国の鉄道技術が優れていないことを認めるようなものだ。これこそ笑止千万である。