“アイス事件”で中国人が怒るのは当然だ 上海モーターショーで見えた「アジア人差別」という時代錯誤な価値観、日本の真摯な姿勢が問われている
中国の「アイス事件」に対する怒りがアジア全土へと広がりを見せている。この騒動は、欧米における「アジア人差別」がいまだになくならない証左なのか。
存在感を増す中国市場
自動車メーカーにとって、中国は世界有数の自動車大国であり、期待できる市場だ。
中国の輸入車販売は2000年代後半から売り上げを伸ばし、2010年代に入ると劇的に増えた。2016年には、BMWをはじめメルセデス・ベンツ、アウディの中国での販売台数がドイツの倍に達している。さらにEV化が進むなかで、BMWによる中国メーカーからの電池調達数も増えている。
市場として期待されている一方、今回のような騒動も発生しているため、何とも状況は混とんとしている。ただ、中国人スタッフが同じ中国人に対して行った行為が果たして差別なのかと疑問を呈する声もある。
同じ4月、アジア系米国人に対する差別事件がイタリアで発生している。ミラノに向かう車内で、イタリア人女性の大学生たちが同乗していたアジア系米国人に対して、くり返し「ニーハオ」と中国語をまねてあざ笑った。その動画がSNS上に拡散され、こちらも各国で報道されるほどの大騒動となった。
ヨーロッパでは、こうした行為は典型的な人種差別と考えられている。日本のSNS上にもこれに憤る人がいる一方、なぜ差別なのか理解できないという声もある。