今さら聞けない! 「電気料金」が高い本当の理由とは? 実はウクライナ侵攻じゃなかった
AI活用で電力の民主化へ

ところで、電力の民主化が難しいのはなぜだろう。
要因のひとつは、電力は発電計画を1日前までに提出することになっており、送電予約をする必要があるためだ。また計画どおりにいかなかった場合は、ペナルティーもある。
そのため、従来、発電所では人が2交代や3交代で勤務してきたわけだが、それがコスト高かつ電力の民主化を妨げる要因にもなっていた。
そこでデジタルグリッドが活用しているのがAI。発電量の予測に直前まで対応できるため、ペナルティーを回避し、発電コストも低減できる。
電気についてこれまで私たち消費者は、使うだけの存在だった。ところが近年は、屋根の上のソーラーパネル、EVの蓄電池など消費者も電気を作れる環境が整いつつある。
「当社が運営するプラットホームの電力価格は、市場に連動します。そのため、必ずしも電気代が安くなるわけではありません。しかし今後、電力市場にさまざまなプレーヤーが参入すれば、発電コストは下がるはずです。将来は電気代がタダの時代もやってくるかもしれません」
と話すのは、デジタルグリッド代表の豊田祐介氏。
地球環境や持続可能な社会への関心が高まるにつれて、化石燃料の使用を抑える動きが広がっている。電気の使用量を減らす試みもその一環だ。
だが、便利で豊かな暮らしを望む私たちにとって、それはジレンマでもある。生活の質が向上するときと、エネルギーの消費量はトレードオフの関係にあるからだ。私たちは毎日スマートフォンを充電しているし、オール電化の家庭なら電気を使わない生活は考えられない。今後、電気自動車が普及すれば、ますます多くの電気が必要となる。
その解決法となり得るのが、再エネである。さらに事業者や個人が自分で電力を調達する仕組みに参加できれば、持続可能な社会と豊かな生活の両立は夢ではなくなるかもしれない。