今さら聞けない! 「電気料金」が高い本当の理由とは? 実はウクライナ侵攻じゃなかった
電気料金高騰の一因はウクライナ侵攻といわれているが、電力市場の高騰は2021年秋ごろからはじまっている。真の原因は別のところにありそうだ。
新電力の安さのカラクリと撤退の背景
新電力が大手電力より安い価格で電力を提供できるのは、自前の発電設備や送電設備を持っていないからだ。
また、多くの新電力は他サービス・事業を持っている。ガスや水道などのライフライン事業や通信事業を展開する新電力事業者が、セット割りを設けているのを目にしたことがある人も多いだろう。
ところが電力の取引価格が高騰すると、利益が出なくなり、場合によっては逆ザヤになることもある。新電力の撤退にはそうした背景があった。
再エネに可能性を見いだした民間電力取引所

いま、再エネ電気を直接取引できるプラットホームが注目されている。日本初の民間電力取引所を運営するのは2017年に東京大学で生まれたデジタルグリッド (東京都港区。以下、デジタルグリッド)だ。
私たちが使っている原油や天然ガス、石炭などの資源は、地球誕生からの46億年でストックされてきたものだ。そのため、いつかはなくなる。
しかし、再エネなら新たに作り出せるので残量を気にしなくてよい。そこに可能性を見いだした同社は、エネルギーの民主化を目指して発電家と需要家が電力を直接取引できるプラットホームをつくった。
デジタルグリッドの株主にはENEOS、東京ガス、ソニーグループ、三菱商事などの、再エネを使いたい・売りたい企業が名を連ねる。累計40億円の資金を調達済みだ。
現在、同社のサービスで電力を調達できるのは法人のみだが、そこで取引された電力は日本全国の1000拠点以上で使われている。