赤字公共交通の救世主「MaaS」 導入議論で超えるべき「高齢者 = デジタル弱者」という時代遅れの方程式
異なる移動手段をひとつに統合

電車やバス、タクシーなどの異なる交通移動サービスを、シームレス(途切れのないよう)に利用しようという動きが活発化している。
出発地から目的地までの移動手段をひとつのサービスとして提供するこうしたサービスは「MaaS(マース)」と呼ばれている。
MaaSは「Mobility as a Service(サービスとしての移動)」の略で、広い意味ではさまざまな移動手段を一元的に提供する交通の概念のひとつとされ、過疎地や都市部での公共交通機関に大きな変革をもたらすとされている。
言い換えれば、デジタル技術を活用し交通事業者とその利用者が抱える課題を解決する仕組みだ。
このMaaSが注目されているのには、いくつかの理由がある。例えば、
「少子高齢化の加速」
だ。特に地方都市では公共交通機関の利用者が減少している。先日もとある鉄道会社が100円を稼ぐのに10万円もかかる路線があるというニュースが話題となった。MaaSは、赤字にあえぐ
「公共交通機関の救世主」
となる可能性が高い。
目的地までの移動をシームレスに

MaaSをうまく活用できれば、出発地から目的地にたどり着くまでの、交通移動サービスの検索したり、予約したり、決済したりするといった行動をひとつにまとめて提供できるようになる。
さらに、乗り換え時間や乗り継ぎ運賃などを考慮した情報を一元的に利用者へ提供されるようになれば利便性がより高くなる。具体的には、
・目的地である病院の診察予約
・遊園地での入場チケットの取得
・施設の混雑状況
を把握することも可能になってきている。
複数の交通移動サービスと交通事業者を横断した経路設計が実現することで、目的地にシームレスに移動できるメリットがある。つまり、自家用車以外のすべての移動手段を多様な面から連携させることで、利用者の不便を解決できるサービスなのだ。
今回は、過疎地が抱えている交通移動サービスに関する課題を、どのように解決し、移動価値そのものを創り出していけるのか深掘りしてみよう。