赤字公共交通の救世主「MaaS」 導入議論で超えるべき「高齢者 = デジタル弱者」という時代遅れの方程式

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新しい交通移動サービスに注目が集まっている。人の移動に関するさまざまな課題を解決し、さらに移動価値を高めてくれるサービスとはどのようなものなのだろうか。

安価導入できるバスロケーションシステム

バスロケーションシステム(画像:横浜市)
バスロケーションシステム(画像:横浜市)

 MaaSへの取り組みを活発化させているのは、バス会社も同じだ。バスは渋滞や道路工事などの道路状況によって、到着時刻が遅くなるケースもある。仕方のないことだが、利用者が予定通りに日程をこなすためには、バスの待ち時間を把握することはとても重要である。

 そこで活躍するのが、バスロケーションシステムだ。バスロケーションシステムとは、衛星利用測位システム(GPS)などの機器を用いてバスの位置情報を収集し、バス停にある案内版や利用者のスマートフォンに情報を提供するサービスだ。利用者に提供される情報のなかには、

・到着予定時刻
・行き先や運賃
・車いす用のスロープの有無

などが含まれている。

 バスロケーションシステムの課題は、バス会社が導入する際にかかるコストだった。しかし、安価なアンドロイド端末を車載機にしたり、格安SIMカードを用いた通信サービスを利用したりすることで、コストを抑えた導入が可能となった。そのため、こうしたバスロケーションシステムは急速に普及している。

 筆者が調べた限りでは、大規模バス会社だけでなく小規模バス会社や、コミュニティーバスなどでも同システムの導入が確認できた。

デジタルツールを使いこなす高齢者

スマートフォンを使う高齢者女性のイメージ(画像:写真AC)
スマートフォンを使う高齢者女性のイメージ(画像:写真AC)

 利用者がMaaSをフルに活用するためには、デジタルツールの使いこなしが必須となる。

「高齢者 = デジタルツールに弱い」

と思われがちだが、実際にはそうとも言い切れない。筆者の知人の祖父母は、自宅の新聞をデジタル版に変えたことをきっかけに、身の回りのあらゆるツールをデジタル化している。自宅の固定電話をスマートフォンに変えたり、ちょっとした日用品はタブレットで注文したりしている。

 タクシーを呼ぶときも電話ではなく、アプリを使っているという。自宅の施錠は、スマートフォンのアプリを活用し、離れた場所から確認、施錠ができるため安心かつ便利だと話していた。思った以上にデジタルツールを使いこなしていることに驚いた。

 こうした生活の変化を考えると、高齢者のMaaSへの対応は決して難しいことではない。小規模交通事業者であっても、システムの導入が容易になっている。老若男女さまざまな世代へMaaSが浸透していくことは間違いない。

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