赤字公共交通の救世主「MaaS」 導入議論で超えるべき「高齢者 = デジタル弱者」という時代遅れの方程式
新しい交通移動サービスに注目が集まっている。人の移動に関するさまざまな課題を解決し、さらに移動価値を高めてくれるサービスとはどのようなものなのだろうか。
タクシーの効率的な配車を実現

コロナ禍の外出自粛や少子高齢化によって、タクシー業界全体の市場規模が縮小しつつあり、特に過疎地ではその影響が顕著だ。そうしたなかで登場したのが、クラウド型タクシー配車システムだ。
例えば、電脳交通(徳島県徳島市)のタクシー事業者向けサービスであれば、パソコン、インターネット回線、タブレット端末があれば、低コストで効率的な配車システムを構築できる。
タクシーの営業所で受けた、利用客からの配車依頼は、タクシーに取り付けられたタブレット端末に配車の指示を出す。従来のように無線で配車指示を行っても、ドライバーが運転中であれば対応できない。
タブレット端末に配車指示が表示されれば、運転中でも指示を確認できる。利用客に最も近いタクシーに指示を出せば、より効率的な配車が実現できるというわけだ。
オペレーターの人材不足を解消

また、JVCケンウッド(神奈川県横浜市)が提供するクラウド型タクシー配車システム「CABmee(キャブミー)」は、低コストで導入できるのはもちろんのこと、利用客からの配車依頼を受けるオペレーターの所在を問わない。
例えば、配車オペレーターはわざわざ出勤しなくても、自宅で配車作業ができるようになる。こうしたオペレーターの業務改善は前述の電脳交通でも行われており、タクシー会社が電話で受けていた配車依頼を、電脳交通が代わりに受けてくれるサービスもラインアップしている。
これらのサービスを活用すれば、オペレーターの人材不足を解消できる可能性は高い。
筆者の祖母が利用していたタクシー会社がクラウド型タクシー配車システムを導入しているかどうかは確認ができなかったが、おそらく導入は進んでいないだろう。特に地方のタクシー会社こそ、こうしたクラウド型タクシー配車システムが広がることを願いたいところだ。