エアライン5社「共同運航」は本当に朗報か? 細る地域交通、今こそ再編を議論すべきだ
ANAとJAL、九州の地域航空会社3社が発表した共同運航(コードシェア)。そこには、限られた資源をどう使うべきなのかという現代社会の普遍的な問題が含まれている。
企業側、運航効率の改善図る
たとえば、長崎や天草といった地方路線は羽田―伊丹などの新幹線と競合する主要路線に比べて利用者が少ない。そうした地域の空港に新規路線を開設するとなると、空港にオフィスを設けたり、スタッフを雇ったりするのに掛かるコストを回収できる目処が立ちにくい。
航空機はこまめなメンテナンスが不可欠なため、整備士やそれに伴う機材の調達も必要だ。
しかし、コードシェアすれば共同運航先の航空会社が業務を担ってくれるので、大幅なコストカットが可能になるというわけだ。稼ぎ頭の国際線へ集中することもできる。
また、航空機の座席の予約状況は路線だけでなく、季節や曜日による変動が大きい。長期休暇の時期や土日は満席になっても、それ以外は空席が目立つこともある。
そうした時期にそれぞれの航空会社が別に運航するよりも、コードシェアして共同で集客し、ひとつの飛行機の座席を埋める方が運航効率は良くなる。
また近年、パイロットと燃料の確保は頭の痛い問題だ。人の融通や燃料の共同購入が可能になれば、経営資源を有効に活用することもできるだろう。
地域航空会社から見ても、コードシェアへの期待は大きい。離島など公共交通が発達していない地域では、空の便も重要な交通手段だ。しかし人口減少で年々経営環境は厳しくなっている。国の補助金がなければ成り立たない会社も少なくない。
更新期を迎えた機材をどうするか、パイロットはどうするのか。コードシェアで大手航空会社のマイル会員が地域航空会社を利用しやすくなれば、厳しさは緩和されるかもしれない。