被害総額100億円以上 「日立物流」倉庫放火事件で露呈した、サプライチェーンの脆弱性と重要性

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2021年11月、大阪市此花区の人工島・舞洲にある「日立物流西日本」の倉庫で放火事件が起きた。物流が絶たれるということは、どういうことなのか。

2021年11月に大阪市で発生

放火前の「日立物流西日本」の倉庫。2021年7月時点(画像:(C)Google)
放火前の「日立物流西日本」の倉庫。2021年7月時点(画像:(C)Google)

 2021年、大阪市此花区の人工島・舞洲にある「日立物流西日本」の倉庫で放火事件が起きた。その後、勤務していた少年が2022年に入って逮捕されたが、全体の損害額は100億円を越えると見込まれている。なぜなら、多くの企業がこの倉庫を配送拠点として利用していたからだ。

 事件は11月29日朝に発生した。火災は延べ約5万6000平方メートルの倉庫のうち、約3万平方メートルに広がった。延べ365台あまりの消防車とヘリコプター2機が出動したものの、鎮火まで5日間を要した。

 その後、1月14日に西淀川区の倉庫でも段ボールが焼ける火災が発生、不審火の可能性が考えられたため、府警が捜査したところ、当時19歳の少年が浮上。現住建造物等放火の疑いで逮捕へと至った。

 舞洲の倉庫は、複数の製薬企業が西日本への供給拠点として利用していたため、影響は深刻だ。倉庫が全焼したため、一時は東日本の倉庫から供給する体勢が取られていたが、製薬各社では3月以降、新たな拠点の設置を進めている。

 日本ジェネリック(東京都千代田区)は3月、日立物流西日本の京田辺営業所内に「西日本物流センター京田辺」を暫定稼働。杏林製薬(同)は日立物流西日本の久御山営業所内に、西日本配送センターを設立している。それでも多くの製薬会社では、西日本の一部地域への配送で1日程度の遅れが生じているという。

 損害額以上に深刻なのは、薬の品薄を加速させていることだ。政府が医療費を抑えるために推奨してきたジェネリック医薬品だが、2020年以降、メーカーで法令違反が相次ぎ、複数のメーカーが業務停止処分などを受けていた。

 そのため、医療機関や薬局が在庫の確保に動いたこともあり、供給不足が発生した。そこにコロナ禍が到来、海外からの原薬輸入に遅れが生じたため、現在3000を越す品目の薬が品薄になっている。放火事件は、そんな状況にさらに追い打ちをかけたのだ。