なぜ日産は70年以上続いた「湘南工場」の役割を見直すのか? 年15万台拠点に起きる生産機能の再編とは
2027年3月、年間15万台の生産能力を誇る日産車体・湘南工場が完成車生産を終了する。国内の平均車齢が9.3年に達するなど「車を長く持たせる経済」への転換が進む中、同工場は他社受託を視野に入れた補修部品製造へとかじを切る。固定費の重荷を解消し、長期保守型拠点へと移行する現場の最前線を追う。
車齢長期化がもたらす底堅い需要

新車市場が景気動向に左右されやすいのに対し、補修部品市場は既存車両が走行する限り需要が継続する。新型車価格の高騰やサステナビリティ意識の高まりにより、車両をメンテナンスして長く乗り続けるユーザーが増え、市場規模はストックの拡大と時間軸の延伸によって相乗的に拡大している。
日本自動車工業会によると、2024年3月末時点の乗用車の平均車齢は9.3年(過去10年間で約14か月増)、平均使用年数は13.3年に達する。この長期化は自動車産業が
「保有マネジメント重視」
の局面に入ったことを示し、補修パーツ需要を構造的に押し上げている。
電動化で機械部品点数は減少するものの、適切なメンテナンスによる長期使用が可能になるため、自動車メーカーにはより長期間の部品供給が求められる。
補修部品は安全性に直結するため品質が最優先され、メーカーが適合性を保証する純正品への需要は根強い。
この領域は急成長こそないものの、新車市場の浮沈に左右されないディフェンシブな成長が見込める。同時に多様なニーズによって部品が分散化する傾向があり、湘南工場はこうした底堅く分散した領域を担っていくだろう。