純利益「1250億円」が吹き飛ぶ衝撃――ナフサ不足が突きつけた「自動車 = 石油化学製品」という現実、脱・中東依存は可能か

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ナフサ不足が末端を直撃した。福井ではシンナー在庫が2週間分に低下し価格は4倍、122社中4割が下方修正と利益1250億円減。燃料ではなく素材の供給が揺らぐいま、日本の製造業は根幹からの見直しを迫られている。

原料依存が招く構造的弱点

一斗缶のイメージ(画像:写真AC)
一斗缶のイメージ(画像:写真AC)

 ここで突きつけられているのは、ナフサという特定の材料が足りないという表面的な事態ではない。真に目を向けるべきは、代わりのきかない限られた原料に、巨大な産業全体が縛られているという構造そのものだ。

 板金業者がシンナーを一缶失うだけで作業の手が止まってしまうように、化学産業がナフサという入り口を塞がれれば、日本の製造業は広範囲にわたって麻痺する。これは日本のものづくりの根幹を揺るがす、産業の成り立ちそのものに関わる重い課題にほかならない。

 思えばこれまで、日本は「燃やすための油」をいかに絶やさないかという点には、並々ならぬ執念を燃やしてきた。しかしその一方で、プラスチックやゴムといった

「形をつくるための油」

をどう守るかという視点は、どこか後回しにされてきた感がある。福井の小さな現場で起きたシンナー不足という混乱は、素材確保という戦略が決定的に欠落していたという、不都合な事実を突きつけている。

 特定の原料に依存しきる産業の姿は、地政学的な変動という荒波に対し、この国がいかに脆いかをありのままに映し出している。車を「動かす」ための石油から、車を「形づくる」ための石油へとその重要性が移り変わるなかで、国としての資源確保のあり方が、いま根本から問われているのだ。

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