純利益「1250億円」が吹き飛ぶ衝撃――ナフサ不足が突きつけた「自動車 = 石油化学製品」という現実、脱・中東依存は可能か
ナフサ不足が末端を直撃した。福井ではシンナー在庫が2週間分に低下し価格は4倍、122社中4割が下方修正と利益1250億円減。燃料ではなく素材の供給が揺らぐいま、日本の製造業は根幹からの見直しを迫られている。
原油高が直撃する川上産業

原油高という重石が、化学や素材を扱う「川上」の産業をじわじわと侵し始めている。
その影響はすでにはっきりとした数字となって表れた。調査対象となった122社のうち、およそ4割もの企業が業績の下方修正を余儀なくされ、純利益の減少額は実に1250億円規模にまで膨れ上がっている。年間の原油価格が1割上昇するだけで、日本企業の純利益は1%以上も削られるという試算もあるほどだ(『日本経済新聞』2026年4月3日付け)。
国内のエチレン製造設備では、すでに減産の動きが広がっている。供給そのものが細り、滞ってしまう恐れをはらんでいるのだ。タイヤに使われる合成ゴムや窓ガラス、各種の樹脂部品といった「中間材」の供給が止まってしまえば、新車の組み立てはもちろん、日々の点検や修理といった現場の営みすら立ち行かなくなるだろう。
とりわけ深刻なのは、幾重にも重なる下請け構造の末端にいる中小メーカーだ。立場の弱さから価格転嫁が進まず、高騰し続ける材料費を、なけなしの自社利益で補填し続けている。こうした耐え忍ぶ状況が長引けば、次世代の車に向けた投資に回すべき貴重な資金が、日々の支払いのために消えていくことになる。
福井の板金現場で起きたシンナー不足。それは、日本の産業競争力が中長期的に衰退していく過程で鳴り響いた、見過ごせない警告の一打といえるだろう。