トラック業界を直撃する「ディーゼル燃料危機」――もはや「乗用車の給油」を制限すべきか?――月額560万円の負担が浮き彫りにする限界点
運送会社に対する燃料の供給抑制が発生している。このままでは、いずれ物流そのものが滞りかねない。将来的な地政学リスクよりも、いま私たちの日常を直接脅かしているのは、石油販売各社の供給姿勢だといわざるを得ない。
給油拒否の広がり

都内のある運送会社が、対応に苦慮している。2週間ほど前から、自社の自家給油設備(インタンク)への給油を燃料販売会社に断られているためだ。理由を尋ねてもはっきりした答えはなく、「給油できない」とだけ告げられているという。
別の運送会社の営業所では、ついにインタンクの燃料が尽きた。この営業所は近距離の配送が中心で、インタンク導入前に使っていた法人向けの給油カードはすでに返していた。やむなく、ほかの営業所からカードを数枚借りて給油することにしたが、ここで軽油の価格差が重い負担となった。
インタンクは、運送会社やバス会社が自社敷地内に設ける燃料の貯蔵と給油の設備である。多くの企業が1万~3万Lほどのタンクを備える。軽油の指定数量である1000Lを超えるため、消防法に基づく厳しい基準と安全管理が求められ、維持費もかかる。一方で、石油元売りなどからローリーでまとめて仕入れることで、店頭より安い価格で軽油を確保できる利点がある。
この仕組みでは、初期費用と維持費を、割安な軽油によって数年かけて回収していく。だが法人向け給油カードに頼れば、店頭よりは安いとはいえ、その差は小さく、投じた費用を回収するのは難しくなる。