トラック業界を直撃する「ディーゼル燃料危機」――もはや「乗用車の給油」を制限すべきか?――月額560万円の負担が浮き彫りにする限界点
運送会社に対する燃料の供給抑制が発生している。このままでは、いずれ物流そのものが滞りかねない。将来的な地政学リスクよりも、いま私たちの日常を直接脅かしているのは、石油販売各社の供給姿勢だといわざるを得ない。
燃料費560万円の重み

営業用トラックの1日あたりの平均走行距離は約217kmである(2023年度実績)。大型トラックの平均燃費は3.7km/Lとされる(全日本トラック協会「燃料サーチャージハンドブック」)。
1か月の稼働日数を25日、保有台数を23台、軽油価格を1L166円(2026年3月23日、資源エネルギー庁「石油製品価格調査」)とすると、この運送会社が1か月に支払う軽油代は約560万円になる。
全日本トラック協会によれば、平均的な運送会社は保有台数22.8台で、売上は2億6400万円である(2023年)。運賃の入金が30日後だとしても、こうした中小企業が月商の4分の1にあたる現金を、しかも入金より1か月早く毎月払い続けるのは重い負担となる。
さらに、資金の回り以前に、軽油価格の上昇は利益を大きく削る。先の平均的な運送会社では、売上に占める燃料費は14.9%に達する一方、経常利益は2.2%にとどまる。
京都市バスのように、軽油を倍の価格で確保する対応は、経営の面から見れば負担が大きい。それでもこうした判断に踏み切るのは、市民の移動を支える役割を優先したためだろう。