路線バスを「点検車」にする逆転の発想!――ガス漏えい事故リスクの“監視の空白”を埋める新手法とは
路線バスを活用したガス管監視は、見回りの空白を埋める発想から生まれた。AIカメラ搭載のバスが2024年度に「連絡なし他工事」の発見数を約2倍に増やし、対象路線の7割で巡回不要を実現。2025年11月、関西三都で110台規模へ拡大した取り組みは、バス事業の新たな収益源と公共インフラ維持の両立を示している。
ガス管工事と路線バス運行の接点

ガス管が埋まった道路を掘り起こす工事は、その道を行き来する路線バスにとって、神経を使う場面だ。どんな目的の工事であれ、ガス管を扱う以上は破損の恐れがつきまとう。もし万が一、バスが通りかかった瞬間に事故が起きれば、取り返しのつかない事態になりかねない。こうしたリスクは、何としてでも遠ざける必要がある。
実際に事故が起きれば道路は封鎖され、バスの生命線である「定時運行」は一瞬で崩れる。それは巡り巡って、事業そのものの屋台骨を揺さぶる重い事態を招く。だからこそ、ガス会社は工事の予定をあらかじめバス事業者へ伝え、情報を重ね合わせてきた。
だが、現実はそう単純ではない。ガス会社と実際に作業を担う施工業者がわかれているため、ガス会社側が把握しきれていない掘削工事が、ふとした隙間に紛れ込むことがあるのだ。
この「情報の漏れ」を防ぐため、ガス会社は一日に何度もパトロール車を出し、バスが通るルートに異常がないか見回らなければならない。なぜこれほどの頻度で巡回が必要なのかという理由は後述するが、この作業が現場にとって、人手の上で大きな重荷となっているのは確かだ。
そこで、ひとつの知恵が絞られた。乗客を乗せて走る路線バスそのものを、見守りの「目」として活用する試みだ。毎日、決まった道を、決まった時間に繰り返し走る。バスならではの運行スタイルを、そのまま街の安全確認に役立てようという発想である。この取り組みは、すでに本格的な運用へと動き出している。