京都市バスが踏み込む“二重運賃”の聖域――「毎日通うのに400円なのか」 市外通勤者を観光客と同列に扱う“差別”的格差とは
京都市は2027年度、市バスで市民優先運賃を導入し、観光客向け料金を最大2倍に引き上げる。人手不足と物価高に直面する交通事業者に収益改善の道を示す一方、市外通勤者を含む柔軟な仕組みが成否を左右する。
京都市バスの市民優先運賃

海外の歴史遺産や遺跡には、観光客向けの入場料金が設定されていることがある。観光客は行楽目的で訪れる際、一定の可処分所得を持つため、地元住民との料金差があっても不公平とはなりにくい。
こうした考えに基づき、俗に「観光客プライス」と呼ばれる制度が設けられてきた。日本でも同様の仕組みが導入される。京都市は2027年、市バスで市民優先運賃を導入すると発表した。実質的には、観光客向け料金の設定である。
前々から構想されていた施策がようやく実行段階に入る背景には、従来の一律運賃では事業運営の持続が難しい現実がある。物価の上昇や人手不足が深刻化するなか、路線網を維持するためには、利用者の属性に応じて負担を最適化する必要がある。移動の対価を居住実態や利用目的に応じてわける判断は、将来にわたり交通インフラを守る現実的な手段である。