路線バスを「点検車」にする逆転の発想!――ガス漏えい事故リスクの“監視の空白”を埋める新手法とは
路線バスを活用したガス管監視は、見回りの空白を埋める発想から生まれた。AIカメラ搭載のバスが2024年度に「連絡なし他工事」の発見数を約2倍に増やし、対象路線の7割で巡回不要を実現。2025年11月、関西三都で110台規模へ拡大した取り組みは、バス事業の新たな収益源と公共インフラ維持の両立を示している。
エネルギー供給不安の長期化

こうした動きの背景には、海の向こうで続く紛争が影を落としている。資源エネルギー庁の資料をひも解けば、ロシアによるウクライナ侵攻を境に、世界の液化天然ガス(LNG)需給は急速に引き締まり、価格の高騰が止まらない。2022年のアジア向け価格(JKM)は、2019年ごろと比較して平均で約6倍という異例の水準まで跳ね上がった。
情勢は一段と混迷を深め、ガスの供給網はかつてない緊張に包まれている。エネルギーの調達コストが膨らみ続けるいま、ガス会社にとって見回り業務の効率化は、事業を継続していく上で避けて通れない課題だ。
京都市バスと大阪ガスネットワークによる試みは、エネルギーを滞りなく届けるための、極めて現実的な解といえるだろう。路線バスという既存のネットワークをインフラの守り手として組み込むことは、燃料費の高騰にあえぐバス事業者にとっても、自らの社会的な存在意義を厚くすることにほかならない。
社会全体でコストをわかち合い、守りを固めるこの枠組みは、今後、各地へと波及していくだろう。